「ねぇねぇ姫君、何して遊ぶ?」



「木登りしよー!木登りー!!」



「紅ちゃん…あたしに木登りは無理だよ…。」



どうにかショックから立ち直って、あたしは二人の手を引いて庭をてくてく歩き出す。



元気な双子ちゃんは手を引いててもそわそわキョロキョロ…実に落ち着きがない。



くりくり大きな瞳を動かして何か楽しいことを探しているよう。



見てて飽きないなぁ……。



一人っ子のあたしは紅ちゃんと蒼ちゃんがほんとに自分の弟みたいで、可愛くて仕方なかった。



心の中は萌花の安否でいっぱいだけど、二人の存在に心が落ち着く。



今飛び出せばきっと迷惑をかける。



あの人の狙いはあくまでもあたし。



それを信じて、萌花はきっと大丈夫だって信じよう。



「…紅ちゃん?」



顔をあげると、紅ちゃんが一点を目を見開いて見つめている。







「なんか……」



「…紅ー?なに見てんの?

………!?」








「姫君……!……逃げて!!!」



「え……?」










急に空を見上げて固まった二人…………。



『逃げて』



その声と同時に空から舞い降りるように華麗な身のこなしで……











「……迎えに来た。

さぁ、行こうか…?


我が花嫁よ……。」









紫の狼が…あたしに手を、差し出した。