あたしの小さな声をけして聞き逃さない十夜は、その返事に綺麗な切れ長の瞳を見開いた。
「いいの…。
我慢なんかしなくていいから……もっと、ぎゅって、して……。」
「………!」
十夜のそっぽを向いた広い背中に手を伸ばして、シャツをぎゅっと握りしめた。
これ以上は言えないんだから……。
ねぇ、気づいて……十夜。
こんなの、すごい決意なんだから……。
十夜のシャツを握りしめた手に…さらに力がこもる。
――――刹那
「あ……!」
――――ドサッ…!
あたしの身体はソファに押し倒され
あたしを見下ろす黒い瞳に、……囚われた。
「煽んな……。」
「………っ。」