真神の家に帰って、あたしは何事もなかったように振る舞った。
紅ちゃんと蒼ちゃんと森みたいな庭で一緒に遊んで、まるで食欲はわかなかったけど夕食だってきちんと食べた。
でも、トイレとか…一人になる度に何度も震える手でケータイをチェックした。
変わらないケータイを見て安心して…
そしてまた数分後には不安になった…。
だから……
今日はとにかく十夜の傍から離れなかった。
真神のあたしの部屋のソファに二人で座って、あたしは十夜の引き締まったお腹に腕をまわしてぴったりくっついて離れない。
十夜は普段じゃ考えられないあたしの態度に戸惑ってる様子だったけど
昼間のこともあるからか何も言わずにあたしの好きにさせてくれた。
そして、部屋に声がかけられてゆっくりと橙伽さんが顔を出した。
「……若様、失礼致します。
……!……これはまことに失礼を……」
控え目に入ってきた橙伽さんが、それでも離れないあたしに、普段冷静な彼が微かに目を見開いた。
「……いや、まぁ、……気にすんな。急用か?」
十夜もちょっと苦笑しながら橙伽さんに返事を返していた。