そうして
十夜は紫月さんの言った通りに、あたしに萌花のことを告げはしなかった。
十夜の嘘を知っているからなのか……
どことなくつらそうに笑う嘘が苦手な十夜を…怒る気になんてならなくて
むしろ愛しいとさえ思ってた……。
全身で、守られているのを感じた。
優しく包み込む大きな手が、ただ…あたたかくて
さっきまでの凍えるような気持ちが溶けていくようだった。
紫月さんからの連絡…その時、
あたしはこのあたたかな手を自ら離さなきゃいけないの……?
怖くて…十夜以外の人なんて嫌で…
あたしはすがるようにその手をぎゅっと握りしめた。
それを十夜は当たり前のようにきつく握り返してくれる。
大丈夫……。
あたしは絶対に負けない。
萌花を連れて、一緒に真神に帰る……!
十夜の傍があたしの居場所。
あたしは全部……十夜のモノ。
だから、十夜に、……勇気をもらう。
あたし……十夜に……―――