「でも…っ!」



『そのようなこと…今はどうでもいい。』



必死のあたしの声を冷たく一蹴し、紫月さんは言葉を続けた。



『本題に入ろうじゃないか……

どうするかな……?貴女の大切な親友は私の手の中……。

けれど、私が必要なのは貴女であって彼女ではない。

助けたくば、交換 と、いこうか……?』



「………!!」



それは……予想通りの言葉だったけれど



冷たく響く声に、恐怖で頭の中が一瞬真っ白になった。



『貴女の黒い狼は、貴女を守る為にこの事を言いはしないだろう。

貴女はわかったふりをして、…私の連絡を待ち此方に来る……いいね……?』



「萌花には何もしないで……っ。」



返事の変わりにそう言って、ギリ…と歯を食いしばった。



『ナニをすると言うのか……。

つまらぬ心配をする必要は無用。

…では、再会を楽しみにしている。』



「まって……!?」



――――ブ……ツーツーツー………













切れた通話と同時に開いた教室の扉。



あたしの黒い狼が帰って来たんだ……。