萌花は灰斗からおおよその話を聞いていてくれて、最後まで真剣にあたしの話を聞いてくれた。
「紫月さんって、真神家の中でも特出して花嫁と出会えてなかった人みたいね……。十年……ですって……。
しかも、もう出会える望みは完全にないのね………。」
萌花は灰斗から聞いたらしく、気の毒そうに眉を寄せながら言った。
「…何をすればいいんだろ………。」
あたしは俯いたまま小さくつぶやいた。
「祈咲が悪いなんてことは何一つないわよ………。思い詰めないの。」
「…………。」
優しい萌花の労るような声に、視界が涙で揺らいで………唇を噛み締めた。
「あたしは祈咲が心配よ。
紫月さんが本当に…祈咲を花嫁の変わりとして狙ってるって言うんなら……なにされるかわかんないじゃない………っ。」
「………っ!」
萌花は眉を寄せ、今にも泣き出しそうな顔であたしの手をぎゅっと握りしめた。
「お願いだから心底気をつけてよ…?
真神くんも目を離さないだろうけど……
紫月さんだって、真神一族なんだから。」
「………うん…。」
萌花もやっぱり《直感》を気にしてるんだ。