「本当に祈咲は《双子の花嫁》だったって言うのか!?
それじゃあ、双子の片割れは…どこに……」
十夜ですらいよいよ戸惑いを隠せなかった。
あたしは声すら出なかった。
意味が…意味がわからない……っ。
「だ、だったら…どうしてママは何も教えてくれなかったの………っ?」
思わず、震える声でそう言った。
「どうか落ち着いて下さい。
……続きがあるのです。
姫君の母上様があなた様に何もおっしゃらないのは当然です。
母上様は、何も……知らないのです。」
「……し…知らない……?」
あたしは橙伽さんの言葉に目を見開いて固まった。
「えぇ。
資料にも…曖昧に《影らしきもの》としか書かれていなかった……。
医師にも確信出来るものではなかったようなのです。
だから、はっきりとわかるまではと…母上様に申告はされなかったのでしょう。
そして告げるに至らなかった最大の理由……
それは………」
「………っ。」
喉はカラカラで……
それでもあまりの緊張に…ない唾を飲み込んだ。
「…一週間後の検診の時、その《胎児らしき影》は……
跡形もなく消えていたのです―――…」