「…………間違いねぇんだな………?」




十夜のまるで唸るような低い声にここにいる全員が一気に緊張に包まれた。



あたしは紫月さんに会った後、紅ちゃん蒼ちゃんに連れられて真神家に来ていた……。



用事を終えて帰って来た十夜はあたしの姿を見てホッとしたような顔をした後、紅ちゃん蒼ちゃんの頭を撫でて褒めていた。



そして……二人から話しを聞いた十夜の態度は一変した………。




「………依然として、紫月の居場所はわかりません……。」



橙伽さんが苦しそうに口を開いた。



「………紅、蒼。おまえらは何を聞いて、何を見た……?」



次に十夜は小さな二人に向き直ると……四つの不安げに揺れる大きな目を見据えた。



「んと……、紫月は言ってた。姫君に…『あなたは本当は誰の《運命の花嫁》なんですか?』って……。」



紅ちゃんが二人が到着するまでの話しを十夜に聞かせる。


二人はよく聞こえる耳であたしとあの人の会話をしっかり聞いていたようだった。



「紫月……、若様が姫君を連れて来てくれた日から変だった。あの時も『本当に若様の花嫁か?』って変なこと言ったんだ……。」



蒼ちゃんは不安げな声でそう話してくれた。



「…………っ!!」



二人の言葉を聞いた十夜はぎゅっと手を握りしめ……ギリッ!と歯を食いしばった。