真神紫月と名乗った男が、ゆっくりとあたしに向かって歩き出して、あたしはえも知れない恐怖にビクリ!と肩を震わせた。
「…………っ!」
後少しで手を伸ばされそうな距離に近づいた時
「…………。」
ふいに彼は伸ばしかけた手を止め遥か遠くに目を向けた。
そして
「………!もう少し話したかったが……邪魔が入りそうだ。
また会おう…?憎くて愛しい………花嫁。」
「………!?」
そう言うとその身を深い紫色した狼に変え、あっという間に走り去って行った。
あたしは腰が抜けてしまったように、その場にへなへなと座り込んでしまった。