「若様ってば本気なんだもんな~…!」
「《運命の花嫁》なんだから仕方ないんじゃないの~?」
「そういうもんかなぁ~??まぁ、おれ達にはまだ先の話だもんね」
「だよね!……あれ…?」
広い真神家本邸の廊下を仲良く話ながら小さな双子が歩く。
――――その時、二人の視界に背の高い男が現れた。
男は小さな二人に気がつくと、冷たげに見える美貌をフッと和らげ…優しげな笑みを浮かべた。
「紫月(シヅキ)!何してるの~?あ…!姫君に会いに来たの…っ!?」
紫月と呼ばれた青年は不思議そうに首をかしげ、二人をひたと見つめた。
「……バカ…っ!紅…っ」
蒼が紅を肘でつつくと紅はハッと顔色を変えた。
「……あ!…し、紫月…っ、ごっ、ごめんなさ……っ…」
慌てて謝ると、男はフッと苦笑してビクッと震える紅の頭にぽんと手を置いた。
「子供が気をつかわなくていいよ?……賑やかだと思ったら、若様が花嫁を連れて来ていたのか……。私も挨拶すべきだろうな」
優しく…どんな方だと聞いてやると、双子は瞳をキラキラさせて話し始めた。