シャツの襟元をパタパタさせながらすでに見失った女を考える。


…可愛いか?
いやブスじゃねーけど。なんつーか…。



「ふつうに可愛いだろ?」

「あぁ!それ!」

「な?本当可愛い。」


いや、そっちじゃなくてさ。普通って意味だったんだけど。



人の好みに口を出すほうじゃないしまぁいい。
暑いし。

俺は彼女の魅力とやらを熱心に話す翔の話を聞き流すことにした。




つーかその女どこにいんだよ?
俺にはさっぱり見分けがつかない。
あれは風景の一部以外の何者でもないのに翔には特別に見えるらしい。
恋はなんたらってやつ?
ばかばかしい。






…なんて思ってた矢先、俺は眼鏡のマジメっ子に恋をする。


微妙な顔した友達達の中で翔は一番最初に祝ってくれたっけ。


図書室が閉まるまであと5分。

彼女を待ちながら、そんなことを思い出してた。