「あのさ俺帰るわ。」



違う違わないの争いを何回と繰り返したころ、横から高木くんが割って入ってきた。



「つーか最初から受け取る気ねーし。後は二人でやって。」




ばかばかしいとひらひら手を降って彼は教室を出ていく。


一瞬、翔くんを睨んだように見えたけど、相変わらず意味のわからない私はただ黙って俯いた。








「見たんだよ」

そんな気まずい空気をやぶるようにぽつり。彼の一言。






「一年前…」


「ひなちゃんが明にチョコあげたの見たんだ。」




「…あげてない」


「あげた。」



全く身に覚えなんてないのに、彼の中では決定事項みたいただ。

そうなったら引かない意外な頑固さも最近わかってきたとこだった。


「本当あげてないよ。」


「嘘はいーよ」

ちからなく笑うその顔にまだ言うか!ってイラッとしたから、つい、私は一生言う予定のなかった秘密を漏らしてしまった。