「朝海さあ。部活入らないの?」
「梅田も入ればいいのに。部活」
入る、って言われても。
「春美って吹奏楽部だっけ。で、健斗はバスケか」
春美と健斗とは家が近くて幼稚園も小学校も一緒。幼馴染だ。
お母さん同士も仲が良いという、離れたくても離れられない縁。
「吹奏楽部はいろうかな」
「バスケこない?」
「ちょ! 朝海を取る気か!」
その後、ずっと笑いながらいっぱい話した。
クラスにも結構、部活に入っていない人がたくさん居た。
正直、部活に入らなかったのは勉強がいっぱいあるからだった。
今のところ春美を見ても健斗をみても勉強を今のままキープすれば
部活にだって入っても大丈夫かなって思った。
いつも聞いている吹奏楽部の演奏だってやりたいと思うし。
「朝海! 部活体験くれば?」
「うん!」
はじめてくるな。吹奏楽部の部室。
ガラッと大きく開けて
「先生! 吹奏楽部に入部希望の梅田朝海さんです!」
と、嬉しそうにセンパイたちの前で言う春美の横に隠れている
あたしに近づいた先生は
「ようこそ!」
と優しい笑顔で言った。