「みれい~み~れ~い」
「わかってるわよ。“真澄さん”」
「じゃあ行って来るね。真澄おばあちゃん」
「真澄さんだよ!まったく、行ってらっしゃい」
わたしの本名は 都築美麗
おばあちゃんと二人で暮らしていた
親の顔は知らなかった
父は海外にいると聞いていた
小、中、高、
私はずっとここで過ごしてきた
「おっはよう、美麗」
「おはよう~、佳奈」
足りないものはない
私は毎日を楽しく過ごしていた
ただ私の中になにか、トゲかなにか
わからないものがあった
「あ、美麗またラブレターだ。いいなぁ…」
「…また、か」
「羨っらやましい~なぁ、なぁ美麗さん」
私はラブレターを鞄にしまった