〈翔太目線〉
朝 相変わらず暑い
撮影も佳境にはいり
9月になったらもう終わる
…みちるさんは戸惑ってたみたいだった
当たり前だな
あんなこと言ったんだから
いなくならない?なんて
昨日話した後 ふとおもいだした
昔も彼女に
この言葉を言った気がする
いつだったか-…
彼女は雪の中で笑っていた
悲しそうだった
「神田!」
「おぉ市村…」
「…いま気づいたのかよ。」
市村はうんざりした顔で言った
今日は撮影は外にでる
違う洋館を貸し切っての撮影
「そういえばお前今日クランクアップだな、おめでとさん」
「あぁ。なんか早ぇな、あの監督といると時間の感覚が麻痺ってくるよ…」
「…だな。」
「次は公演だぜ…。信じられねぇよ…過労死しちまうよ」
市村は皮肉気に笑った