「バス高い!
アルトもっと声だせ!
テノール真面目にやれって言ってんだろーが!」








ヒイィ!
伊月先輩怖い!


厳しいよ!


「ソプラノ!高い音だせてねえ!腹つかえ!」


はいるなんて言わなきゃ良かった!
伊月先輩怖い!


「たく……どいつもこいつも」


めちゃくちゃ怒ってる!機嫌悪いよ!


「姫歌……私後悔してるかもしれない」


隣にいた初架がいきなり話しかけてきた。


私も後悔してるかもしれない。
なんで合唱部に来てしまったんだろう。


怖すぎます。


「テノールドじゃねえ!そこレだ!」


あれ?
伊月先輩もしかして。


「あの……伊月先輩」


「……瑞沢さん?
なんかよう?」


「伊月先輩、絶対音感もってます?」


私が言った瞬間伊月先輩が驚いたように目を見開いた。


「なんで……?」


なんでって……。


「さっき、ドじゃなくてレだって言ってたのでもしかしてと思って」


「……もってるけど」


「やっぱり!私も絶対音感もってます!
なんか身近に同じような人がいるっていいですよね!安心します!」


嬉しくてついいままで言ったことがなかったことを言っていた。


「姫歌が……絶対音感もってることを教えた」


初架がポツリと呟いたけど聞こえてなかった。


「家族に絶対音感もってる人いますか?」


「いや……俺だけ」


「私の家も絶対音感もってるの私だけなんです。似てますね!」


にっこりと微笑んだ。


「っ!……やべ」


へっ?
なにが?


伊月先輩……顔赤くないですか?
熱あります?


「伊月先輩熱ありますか?」


「ないっ!」


そうですか……。


なんか亜月先輩と宮咲先輩がニヤニヤしてるんですけど。


無視しますか!