晴を好きだと気づいた日から、何ヶ月も経った。
いまはもう春を感じることはなく、蒸し暑くじとじとと汗がまとわりつくような夏へとなった。
あれから私は何度も何度も、晴を忘れようとしたけど、今もまだ心に残る彼。
沙和に吐く嘘も、だんだんと増えてきて、その度に痛む痛みもそれにつれて増していく。
だから私は、今晴と関わらないようにしているんだ。
「ね~佳世ーっ!」
沙和がずっと私の手を掴んだまま離さない。
そしてうるうると瞳を潤ませて
「お願いだからぁ」
と私を誘う。
「無理なの~用事があるの~いけないの~」
その瞳からぷいっと顔を背けて言うと、更に私の手を掴む力を強める。
「協力してよ~佳世がいないとデートになるんだもんーっ」
「いいじゃん?何がいけないの~!す…っ」
「それ以上言ったらだめ!」
顔を赤くして、私の口を押さえる。
好きなのに…。
言おうとした言葉が頭をずっと駆け巡っている。
沙和は少し前に晴を遊園地に誘った。
それに私も来てくれって。
なんだかおかしいじゃない?