「桜、散ってるね」 そう私が口にだすと、沙和は伏せていた顔を上げて言った。 「私もいつか、桜みたいに散るのかな?」 ぼんやりと微かに目を潤ませた沙和は儚い笑みを浮かべた。 大丈夫だよ。 って…言える自信なんて私には無かった。 切なく笑った沙和をどうにかできる程私には力なんてない。 だけど、祈った。 蒼く澄んだ空に向かって。 瞼を閉じ、沙和の願いがどうか彼に届くように…と。