甘えるような笑みを見せて「だめ?」というので私はもう一つのシャーペンを渡した。
心底可愛いと思う…ほんと、私が見ても…。
「ありがとねっ」
未玖くんが肩を上げてにこっと笑った。
尚さんよりも少し長めの髪の毛が揺れる。
可愛すぎる…!
真似できないよ…こんなの~…。
その後、もう大分時間がロスしていたので短時間で授業は終わった。
日直の挨拶が終わりざわめき出す教室。
未玖くんが私の肩をちょこんと叩いた。
「香世ちゃん、コレ借りてていい?」
芯を出す上の部分で揺れる星を見て別のを貸してあげれば良かったと思いながら「それで良ければ…」と私が苦笑いを浮かべると未玖くんは目を閉じてにこっと笑った。
「よかった!僕今日慌てちゃって筆箱忘れたんだよねっ~」
あ、そっか!
塀飛び越えてたもんね。