「はい、どうぞ」
その声に顔をあげると、女の子がジュースを差し出していた。
「あ、さんきゅ…」俺は少し目を逸らす。それは、その女の子が俺のタイプだったからだ。
小さくて、髪の毛が長くてふわふわで、声が可愛くて、胸だけ発育が良すぎる(笑)背丈が中学生並み。てか胸以外完璧中学生だと思う。
「あ、あの…?」
少し頬を染めた彼女。あ、凝視しすぎたか。
「ごめん、あの…」
自分の好みの女の子。少しでも仲良くなりたい。気がつくと俺は話し始めていた。
「入院、してんの…?」
俺の問いに彼女は笑う。
「うん、もう結構入退院繰り返してるんだ」
少しショックを受けた。何らかの病に犯されているのだろうと見当がついたからだ。
「な、名前…」俺の質問は別の人物によって掻き消された。
「愛音ちゃーん?どこいるのー?」
看護師だろうか、彼女はその声に「すぐ戻りまーす!」と答えた。
「あ、それじゃあ…」
立ち去ろうとした俺に彼女は自分の持っていた手帳の紙を破って何かを書いて俺に渡した。
「愛音、お友達いないから、もしよかったら来てねっ」
そう言って彼女は帰っていった。
俺は目を落とす。そこには女の子らしい少しくせのある字で、
『402号室 野栄愛音(のさかあいね)』と書かれていた。