病院を出てから、俺は自転車に乗って家に帰る。病院と高校、そして家は割と近くなので通うのには申し分ない。ほんの10分程で着いた。

「ただいまー」
そう言いながら扉を開けると晩ご飯のいい匂いがし、俺のお腹は鳴る。
「あ、健、おかえり。
お腹空いてるなら早く手洗ってきなさい!」
すぐさま手を洗い食卓へ。隣には既に俺の姉貴が座っていた。
姉貴は、俺より5つ上の社会人だ。名前は美紗。確か、事務の仕事をしていると聞いたような気がする。
そんな姉貴はあと3ヶ月でこの家を出ていく。彼氏である敦也兄さんと同棲し、ゆくゆくは籍を入れるそうだ。つまり今は幸せの真っ只中というやつか。
実はもう1人、渚という姉貴もいるけど、こっちの姉貴はもう結婚して子供もいるから、なかなか会わないな。
「はい、美紗、健、召し上がれ」
そう言われて俺と姉貴の目の前に置かれた晩ご飯はオムライスだった。今更ガキみたいだと思いつつオムライスが好きな俺はガツガツとスプーンを進める。そんな俺をおかんは微笑をたたえながら見ていた。