その後愛音はやっと俺の存在に気付いたのか一瞬目を見開き、
「おはよう、健君」
と微笑んだ。
愛音はどうやら既に俺と真希さんが話したのが分かっているかのように、普通に接している。

それから俺、愛音、真希さんで他愛ない話をした。

制服の俺を見て興味津々の愛音。そういえば愛音は俺の後輩にもなるんだよな、そう思い出した。
「何でこの高校選んだんだ?」
ふと気になって訊ねる。
「〇〇高校は、病院と近いから何があっても大丈夫なようにって、ママが。
学力も高いし、制服も可愛かったし!早く愛音も着たいなっ♪」
愛音はそしてポツリと、「小学校も中学校もほとんど行けなかったから…」と言った。
ちなみに聞いた話。俺の高校は出席にも厳しいのに欠席の多い愛音が入学できたのか。この疑問も訊ねてみたのだ。
答えは真希さんが簡潔に理解させてくれた。
「愛音は頑張り屋さんだから、学校行けない分自分で勉強してるの。親の私が言うのも何だけど、愛音はよくできる子なのよ!
だから校長先生も出席関係なく特別に試験と面接だけで合格させてくれたのよ」
正直、羨ましい(笑)俺はスポーツ推薦で入って、結局部活も辞めたような奴だから。