「…」
やっぱり、言葉は出なかった。ただ、彼女の説明を聞いてもの凄く大変な病気だと分かった。1つでも大変なのに4つも、しかも大切な心臓に病気があるなんて…。
「あ、でもでも、必ず死んじゃったりする訳じゃないから!私は貧血の発作を結構しちゃうからあれだけど、基本的には学校行ったりもできるし、薬で治療もできるから…」
彼女は明るく言ってくれるが、きっと彼女は結構酷い状態なんだと確信した。唇がプールの後のように紫色に変色していると、気付いたからだ。普通こんな暖かい日に、唇が紫色になるなんて有り得ない。しかも彼女はベッドの中にいるのだから。
でも、きっと、彼女は真っ直ぐに生きているんだろう、そう思った。
「あの、俺のこと健でいいし、俺も愛音って呼ばせてもらうから…その…」
彼女―愛音のぱっちりとした瞳が更に大きくなった。
「毎日、お見舞い、来ていいかな…?」