翔太の家に初めて行ったのは高1の秋のことだ
文化祭でライブをやることになり、智弘は心地いい
興奮と緊張を毎日感じていた
サッカーを埋めてくれる痺れだった
その日、智弘が翔太の家へ行ったきっかけは
ゲームだった
翔太が新しく出たサッカーのゲームを買ったと聞いてて、智弘のほうが早く早く、と翔太を引っ張るように二人は翔太の家へ着いた
「お前いいとこ住んでんな〜〜」
マンションを見て
智弘が漫画のように口を開いている
「そうか?」
「俺んちの倍はあるな」
8階へ着いて 玄関を開けると翔太は真っすぐ自分の部屋へ入っていった
遅れないように 小走りでついていく
「あら」
リビングを通る時に声をかけられ智弘は振り向いた
翔太の母親だった
翔太の母は智弘が想像していたようなどの家庭にもいる「お母さん」ではなかった