バイトを始めて2週間目に入った頃。
「バックオーライ!バックオーラーイ!!
はい!オーケーでーす!!」
車の誘導もだいぶ慣れて来て、ガソリンの給油だってもう怖くなくなって来た。
バイトは順調。
おカネも順調。
全てが順調に回っていた。
そう……
あいつに再会するまでは……。
その日、私は丁度、大型バイクの給油をしていた。
気を抜くとすぐに溢れちゃうから、入れ過ぎないように慎重に……慎重に……
「おはようございます!」
こ、この声は!
いつかのシャリオの君の声だ。
澄んだ爽やかな声がスタンドにこだまし、彼の後ろ姿が待合室へと消えて行く。
あの時のお礼を言わなきゃ。
急いで給油をし、お会計を済ませると、待合室に駆け込んでシャリオの君を探す。
待合室の奥にある従業員休憩室で、所長と談笑する男の子の声に耳がピクンとなる。
「もう、試験は終わったのか?」
「はい。お陰様で何とか……。お休み頂いてありがとうございました」
やっぱり間違いない!
シャリオの君だ!
戸口に立った丁度その時、扉が開き中から背の高い男の子が休憩室から出てくるのにバッタリと出くわす。
その男の子の容姿に息が止まる。
天然に整っている美しい眉。
通ったきれいな形の鼻筋。
涼しげでくっきりとした奥二重の眼元。
顔、ちっちゃ!
芸能界だってこんなにきれいな男の子なんて滅多にいないかも。
ほげっと見とれていると、所長が事務所の奥からひょこっと顔を出す。
「おっ、舞香ちゃん。今日もよろしく頼むよ」
「は、はい!」
「カイトも彼女をサポートしてくれな」
カイト……?
カイトって……まさか、あのカイト?!
「あ……えーと、久し振り、覚えてるかな?
久留生海斗(くりゅうかいと)です。
そのぉ君、御手洗(みたらい)舞香ちゃん、だよね?」
久留生海斗は遠慮気味ながら、握手しようと手を差し出す。
次の瞬間、私はその手をパーーーーンと撥ねつけると、憎悪に満ちた目で彼を睨みつけた。
「バックオーライ!バックオーラーイ!!
はい!オーケーでーす!!」
車の誘導もだいぶ慣れて来て、ガソリンの給油だってもう怖くなくなって来た。
バイトは順調。
おカネも順調。
全てが順調に回っていた。
そう……
あいつに再会するまでは……。
その日、私は丁度、大型バイクの給油をしていた。
気を抜くとすぐに溢れちゃうから、入れ過ぎないように慎重に……慎重に……
「おはようございます!」
こ、この声は!
いつかのシャリオの君の声だ。
澄んだ爽やかな声がスタンドにこだまし、彼の後ろ姿が待合室へと消えて行く。
あの時のお礼を言わなきゃ。
急いで給油をし、お会計を済ませると、待合室に駆け込んでシャリオの君を探す。
待合室の奥にある従業員休憩室で、所長と談笑する男の子の声に耳がピクンとなる。
「もう、試験は終わったのか?」
「はい。お陰様で何とか……。お休み頂いてありがとうございました」
やっぱり間違いない!
シャリオの君だ!
戸口に立った丁度その時、扉が開き中から背の高い男の子が休憩室から出てくるのにバッタリと出くわす。
その男の子の容姿に息が止まる。
天然に整っている美しい眉。
通ったきれいな形の鼻筋。
涼しげでくっきりとした奥二重の眼元。
顔、ちっちゃ!
芸能界だってこんなにきれいな男の子なんて滅多にいないかも。
ほげっと見とれていると、所長が事務所の奥からひょこっと顔を出す。
「おっ、舞香ちゃん。今日もよろしく頼むよ」
「は、はい!」
「カイトも彼女をサポートしてくれな」
カイト……?
カイトって……まさか、あのカイト?!
「あ……えーと、久し振り、覚えてるかな?
久留生海斗(くりゅうかいと)です。
そのぉ君、御手洗(みたらい)舞香ちゃん、だよね?」
久留生海斗は遠慮気味ながら、握手しようと手を差し出す。
次の瞬間、私はその手をパーーーーンと撥ねつけると、憎悪に満ちた目で彼を睨みつけた。