麗香が微妙な顔をしている。私の肩に手を置いてこれまた微妙な笑い方をした。
「例え幼なじみでも、自分の好きな人…彼女の把握はしなくてもいいんじゃないの?まあ…京が彩乃に紹介したいって思うなら別だけど」
「……」
確かに、麗香の言う通りだ。
京の全てを私が知る権利はない。ってことは、私の知らない京がいるってことで…。
当たり前の事に、今気づいた。
胸が鉛を含んだかのように、ズッシリ重くなった。モヤモヤする…なんだコレ…。
「やっぱり彼女じゃね?高宮カッコいいもんな」
「俺に何も言ってくんねーのかよあいつはよぉ…」
再びざわめきを取り戻した教室。橋谷が唸る声を聞きながら、私はスカートをぎゅっと握りしめていた。