梨木さんは挨拶運動を中断し、ムスッとした顔をしたままツカツカとオレの目の前まで迫り寄る。


そして、顰めっ面のまま一言。


梨木:
「おはよう……橘くん……!!!!」


梨木さんは苛立ちを込めたような挨拶をする。

他にも何か言いたげだな……


橘:
「……チィース……」


だが、知らん顔する。

厄介事になる前に立ち去ろうとしたが……

それを予測していたのか、オレの左腕をガシッと掴んだまま離そうとしない。


梨木:
「……………」

橘:
「……………」


言いたいことがあるならサッサと言ってしまえばいいものを……

エラく沈黙が続いてしまったので、オレの方から話を切り出す。




橘:
「何の用ッスか……??」

梨木:
「橘くん……私に何か言うことは……!!??」


「チィース」と挨拶はしたつもりだったが……

この人の耳には届いてくれなかったのかい………??


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