オレは道行く生徒に紛れるようにして校舎に歩み寄り、梨木さんとの距離も縮まっていく。


梨木:
「おはようございます!!!!おはよーございまーす!!!!」

橘:
「……………」


お手本に取って置きたいほどの綺麗な笑顔。

だが、オレは知っている。

この笑顔は単なる[営業スマイル]だということを……


確かに梨木さんは基本的に笑顔を絶やさない人であり、それが(男女問わず)生徒からの好感度を上げる要因にも繋がり、結果として二学年の[二大美女]とまで言われている。

だがしかし、今彼女が周囲に放っているこの笑顔は、単なる愛想笑いに過ぎず、本当の彼女の笑顔とは所謂[小悪魔系]のモノなのである。





[小悪魔系]……??

いや……それだと(人によっては)プラスに聞こえてしまうか……??


じゃあ、こう言い換えよう。

[何かをたくらんでるような]笑顔だ。


この人の邪気のない笑顔は[偽物]であるとここに断言しよう。


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