「……は?」
意味がわからない俺に、
相変わらずのにやにや顔で悟が続ける。
「だからぁ、“匂い”だよ。」
「匂い…?」
「先輩と一緒だった日は、お前必ず甘い匂いするの。
明らかに女物の…いつもとは違う香水の匂い」
「はぁっ?」
とりあえず、腕のあたりを嗅いで確かめてみたものの…わかんないし。
そんな俺を見て、
「自分じゃわかんないかもな。“当たり前”すぎて。」
意味深に笑う悟。
「つくづく羨ましいよ。
そんだけいつも密着してるってことじゃん?」
「シャンプーとか…じゃないの?」
「いやいや。違うだろ。
俺がお前ん家に泊まってもそうはならなかったからな。」
なぜか得意気に主張してるし。
「それは、明らかに“先輩の”匂いだよ。
でもって、そんなふうになる要因はひとつ!」
びしっと、人差し指を突き出して。
「“あの”先輩が、お前にココロもカラダも許してるから…だろ?」