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「……立花実咲?」



数日前。


偶然、彼女と再会した。



同じ大学。

同じキャンパス。


学内は決して広くないし、学生数だって多くはない。


同じ施設を利用しているわけだから、どこで顔を合わせてもおかしくない。


今まで会わなかったのが不思議なくらいだ。




「……成海先輩。」



驚きを隠せない様子で俺を見つめる瞳。




……っ。


その瞬間、ドクンと大きく波打って急速に乱れていく鼓動。



「ひ…久しぶり。」



それを誤魔化すように、なんとか言葉を絞り出した。



「あ…ハイ。お久しぶりです。」



「5年ぶり…くらい?」



「たぶん……」



「元気…だった?」



「まあ……」



「………。」



「…………。」



会話はすぐに途切れて、気まずい沈黙が流れる。


変わらない、な。


久しぶりだから、とか気まずいから、とかじゃない。


元々、俺たちの間に会話らしい会話なんてなかったんだから。


あのときは、それが心地よかったのに……