みさきはきっと、気づいていない。
気にもしていないと思う。
夏休みになって、
アイツがここで寝泊まりするようになっても、普通にこうして泊まりに来るし。
同じ食卓を囲むことにも抵抗はないみたいだし、
母さんがいれば、一緒にリビングでくつろいでいたりもする。
アイツの存在を意識するのは、さっきみたいに…
アイツが家にいるときに、
キスとか…そういう行為をするときだけ。
見られたら…とか、
聞かれたら…とか?
そっちの心配はするみたいだけど……
基本的に、たいして気にはしていない。
だからこそ、
俺は気が気じゃないんだ。
アイツの視線にも
アイツの気持ちにも
アイツの存在が、
俺たち…少なくとも俺を、脅かしていることにも
全く気づいていないから――
「…もう1回、しよっか?」
「へっ?」
「なんでもしてくれるんでしょ?みさきに“できること”なら」
「……っ」
じわじわと侵食してくる不安を払拭するために、
俺は今日も
彼女を――