母さんの申し出を素直に受けたアイツは今、
この家で暮らしている。
ほとんどすれ違いの生活だから、滅多に会うことはないんだけど、
夜になれば、
嫌でも顔を合わせることになるわけで…
「……ん?航く…ん?」
部屋に戻ってすぐ、
思わず、ベットの中のみさきを抱きしめてしまった。
「…どうしたの?」
熟睡してるとばかり思っていたのに。
「また…眠れない?」
まるですべてを見透かしたような言葉と、
子供をあやすように抱きしめ返してくる細い腕。
……全部、バレてたんだ。
「大丈夫?」
もうずっと、俺は眠れない夜を過ごしている。
昼間は平気なのに。
夜になると無性に不安になって、眠るのが怖くなる。
起きたら、すべてが消えてしまいそうで…
「航くん…」