でも、
それは許されなかった。
あのとき、
彼女はそのまま俺から離れて行って。
もう、俺を必要とすることはなくなった。
そんな彼女に近づいて、傍で支えたのが航で。
時間をかけてゆっくりと、アイツは彼女を救ったんだ。
出会ったのは、航が先。
近づいたのは、俺が先。
でも、
手に入れたのは、航。
たぶん、初めてだと思う。
アイツが…航が、
自分の欲しいものを
自分の力で手に入れた、のは。
それまでずっと邪魔されてきて。
欲しいものを欲しいとも言えなくて。
いつも我慢していた航。
初めて好きになった女の子さえも、俺と“あんなこと”になって。
それでも諦めずに、
彼女の“心”を手に入れた。
そんな航が、
彼女を手放すわけがない。
一生、守り続けるつもりだろう。
だから、
俺が入り込む隙間なんて
ないんだ。