……やっぱり?




「あのねっ、なんかいよんでもおきないんだよ?」



がっくりと肩を落とした俺の服を引っ張りながら、

息子の…樹が何やら懸命に説明し始めた。



「だからね、おねーちゃんがやってみろって。」


「えー?何を?」



その小さな体を抱き上げつつ、俺はリビングへと向かう。


隣で美波が

「パパにはないしょだっていったでしょ!」とか騒いでるけど…何?




「ちゅーすればおきる、って。」


「はぁっ?」


「いつもパパがやってるみたいに、ママにちゅーすれば…「いっちゃん!」



ぐいぐいと。
樹の足を引っ張ってやめさせようとする美波。

…って、おいおい。



「でも、やっぱりぼくじゃダメだったよ?」



美波の攻撃にも負けず、樹のおしゃべりは止まらない。



「やっぱり、パパじゃないとダメだね。」