たぶん、俺をタクシーに乗せたときから。
なんだかんだ言いつつ、こうなることを予想していたに違いない。
…って言うか、
むしろ“仕組んだ”のかも…。
玄関にみさきの靴がある時点で、わかるはずだから。
なのに、
あのうるさい人が、何も言ってこないってことは…
「大丈夫だよ。」
「え…?」
「心配しなくても大丈夫。」
気にすることはない。
だって…
「母さんはみさきのことが“大好き”だから。」
早くみさきに元気になってほしくて。
ここに戻ってきてほしかったんだから…反対なんかするわけないじゃん。
「…まぁ、俺には負けるけどね。」
ぽつりと呟いてから…
「えっ?ちょっ…」
くるっと。
身体を回転させて。
腕の中にあったみさきの身体をベットへ倒した。
「航くんっ?」
そして、そのまま覆いかぶさるようにみさきを見下ろして…
「俺の“好き”、もう1回伝えてもいい?」
にっこりと微笑んだ。