「え……?」



びっくりしたように再び俺を見つめるみさき。

瞳に溜まった涙を拭ってやりつつ、俺は続ける。



「昨夜のみさきはすごかったよねぇ」


「…え?」


「積極的って言うか…
まさか、みさきがあんなことするとは思わなかった。」


「あんなこと…?」


「そう。例えば…」



こそっと。

“一例”をみさきの耳元で囁いてみれば…



「やっ…あれは違っ…」



たちまち耳まで真っ赤になった。

…ぷっ。可愛い。



「それだけじゃないよ?
みさきは覚えてないかもしれないけど…」



今度は別の“エピソード”を。



「し…知らないよぉ。私、そんなこと…」


「いやいや。ホントだって。なんか別人みたいだったもん。」


「ウソ…」



いたたまれなくなったのか、みさきは布団を引き上げて。

隠れるように、そこに顔を埋めた。



また可愛いことを…


それを引き剥がそうと、手を伸ばした俺に…



「イヤ…だった?」



小さく聞こえた不安気な声。



「航くんは、“そういう”私は好きじゃない?」