え……?


きゅっと。
俺のシャツの裾を握りしめて。

まっすぐに。
瞳を揺らしながら俺を見つめるみさき。



「あ…」



こぼれ落ちそうな涙に再び手が伸びる…も、

慌てて引っ込めて、視線をそらした。



「……見るのも嫌?」



そんな俺に、みさきの哀しげな声が響く。



「え?」


「さっきから、ずっと。
私を見ようともしないし、目が合う度にそらすでしょ?」


「はっ…?」


「もう…顔も見たくなかった?」


「違っ…」



それは、みさきが…

って言うか、みさきだって一緒じゃん?


ずっと…

ここに来るまで俺のことなんて…



「…ごめんね」



掴んでいた服を放して、
視線を下に落として。



「迷惑かけて…ごめんなさい。」



小さく呟いたみさき。

なんで、謝るの?


悪いのは…



「航くんにはもう、関係ないのに。」


「え…?」


「航くんはもう、

私のことなんて好きじゃないのに……」