あれは、数日前――
―――……
――…
「コウちゃん、ちょっといい?」
委員会の当番の後。
珍しく最後まで残っていたマドカが、意を決したように俺のところにやって来た。
「話があるんだけど…」
真剣な面持ちのマドカ。
それを見て俺は、ついに来たか…と思った。
向き合わなきゃいけない、のか。
夏休みが終わって、学校で顔を合わせる度に、
マドカが俺に、何かを言おうとしていることには気がついていた。
そして、それを躊躇っていることも。
何を言おうとしているのか、も。
でも、俺はずっと知らないフリをしていた。
見ないフリ。
気づかないフリ。
マドカを避けて、逃げていた節もある。
でも、ついに…
「みさきちゃんのことなんだけどね…」
マドカは“それ”を口にしたんだ。
「コウちゃんはもう、
みさきちゃんと会う気はないの?」