「……え?」
俺の言葉に、一瞬固まってこっちを見ていたものの、
「で…でも、私…」
すぐに目をそらして俯いてしまった。
「この前、あんなこと言ってコウちゃんを怒らせちゃったばっかりだし…」
……ん?
この前?って、ああ!
「たぶん、今一緒にいたら、また同じこと言っちゃうと思うし…」
あのこと、か。
「だから、今はちょっと…「ごめん、悪かった。」
「え…?」
「もう気にしてない、って言うか…あれは完全に“八つ当たり”だから。」
マドカのせいじゃない。
「だから、ほら…少し休んでから行きなよ。」
マドカのことだ。
息の乱れ具合から言って、図書室から階段を駆け上がって来たに違いない。
このまま帰したら、さすがに可哀想だ。
「ほら、コレあげるから。」
戸惑うマドカに、ここに来るときに買った未開封の缶ジュースを差し出した。
「え…あ、ありがとう。」
…まったく、俺は。
どれだけ人を傷つければ気がすむんだろう?