「まあ、結果的につき合うことになったわけだし…
別に今さら気にすることじゃないよね?」



へへっ、と。
無邪気に笑って、ゴクゴクと目の前にあったグラスを飲み干した茉奈。


そりゃ、確かに。

今さらどうこう言っても仕方ないし。

私にとって“ファーストキス”は、そこまで重要なものじゃないし…


何より、
航くんだったから。


それが他の誰かだったなら、怒りなりショックなりの感情が生まれたかもしれないけど…


それよりも、
気になるのは…



「なんで、茉奈が知ってるの?」



話が筒抜けだったと言うこと、だ。



「なんで…」


「相談されたから」


「へっ?」



あっさりと茉奈は答えた。



「みさきは、本当は気がついてるんじゃないか?って…心配したみたいでさ。」


「え…?」


「何か言ってなかったか?とか、変なところはなかったか?とか…

いちいち確認しに来てたのよ。私に。」