「なっ…何、それ?」


「あら。それも気づいてなかったんだ?」



慌てる私を見ながら、茉奈はけらけらと楽しそうに笑っている。


これは…絶対に酔ってる。


でも、今はそれどころじゃなくて…



「すごいよねぇ。
みさきって、人に起こされても絶対に起きないのに…」


「え…?」


「どんなに熟睡してても、航ちゃんがキスすると、簡単に目を覚ます…なんて。」



何?何の話?

私の…こと?



「変だと思ったこと、ない?」


「……?」


「目が覚めたとき…」



目覚めたとき…?



……あ!



確かに、いつも…

やたら近くに航くんの顔があって。

起きる度に、妙にドキドキさせられたような…



「航ちゃん、
そうやってみさきを起こしてたらしいよ。」


「……え?」


「つき合う前から、ずっと。」



にやっ、と。
楽しそうに微笑んで。



「最初にしたのが、航ちゃんが中2になってすぐ、って言ってたから…」



茉奈はまた、私に衝撃を与えた。



「みさきの“ファーストキス”はそのとき。中学3年の春、になるよね?」