あのとき、

私たちは確かに、同じ想いを抱いていた。


同じ苦しみを背負っていた。



誰にも言えなくて。

わかってもらえなくて。


居心地が悪くて。

逃げ出したくて。



お互いの事情は違っていたけど、

その想いの強さは同じだった…と思いたい。



私たちは、2人とも
ギリギリまで追い詰められていて。

“救い”を求めていた。



今振り返ってみれば、
何て幼くて脆かったんだろう、って思う。


でも、そのときは必死で。

目の前には暗闇しかなかったんだ。



つらくて。
苦しくて。

逃げ出さずにはいられなかった。



その想いは、

すぐに吹っ切れるものなんかじゃない。


簡単に乗り越えられるものではなかったはずだ。




なのに、私は…


あの後、簡単に、
それを忘れてしまった。


先輩の存在すら、忘れていた。


その痛みや苦しみを共有するどころか、

それをすべて投げ捨てて、
自分だけ“幸せ”に暮らしていた。



一緒に乗り越えなくちゃいけなかったのに。

“過ち”を犯した責任は、私にもあったのに…



私は…



「…ごめんなさい」