「……一緒に来る?」



あれは、12月。

冬休みに入る少し前の、寒い夜のこと。



「え…?」



閉館のメロディが鳴り響く中、

帰り支度をしていた私の前に、突然現れた先輩。

まるで、友達に話しかけるみたいな気軽さで話しかけてきたんだ。



図書館以外のつながりどころか、

それまでまともに話をしたことすらないのに…



でも、

思えば、最初から。


そうなることを予期していたのかもしれない。







「遠くに行く」と、先輩は言った。



ここにいるのは苦しいから。



「ここから逃げて知らない街に行く」のだと。



そこで自分の“居場所”を見つけたい。

ここを離れれば、見つかるかもしれない。


楽になれるかもしれない――





先輩が吐き出した想いのすべてが、

私とシンクロした。


同じ、だった。




だから……





私は、


先輩と一緒に行くことにしたんだ。