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――…
「あ…。まただ。」
先輩と出会ったのは、5年前。
中学2年のときだった。
通っていた市立図書館で。
よく見かける男の子。
このへんでは有名な私立中学の制服を着て。
毎回、同じ席に座って…
いつも、
閉館ギリギリまでいる。
それが、先輩だった。
話をするわけじゃない。
名前も知らない。
でも、
お互いに“知っている”。
利用者は少なかったから。
毎日顔を合わせていれば、すぐにその存在を認識するようになるし、
目が合えば、自然と会釈くらいはするようになる。
でも、あくまでその程度。
別に近づきたいとも思わなかったし、
近づこうとも思わなかった。
ただ、なんとなく…
気にはしていた。
その瞳が、
醸し出す雰囲気が…
どこか、自分に通じるものがあるような気がしたから。
それはたぶん、
先輩も同じだったんだと思う。
だから、
あの日、先輩は――