「1人じゃどうにもならなくて、塞ぎ込んで閉じこもって…見かねた父親が、連れて行ってくれたんだ。」



淡々と話す先輩。

口調は単調で。穏やかなままだけど…

ひしひしと伝わってくる“辛さ”と“苦しみ”。

それは…



「そこで出会った先生…あ、もうおじいちゃんなんだけどね?彼に救われたんだ。」


「……」


「今、こうして生きていられるのは、その人のおかげ。」


「……っ」


「だから、その先生みたいになりたくて。少しでも近づけるように頑張ってるんだ。」



にっこりと。

やわらかい笑みを浮かべてるけど…



「……あ、ごめんっ」



私の表情を見て、一転。

先輩は慌てて謝った。



「そういうつもりじゃ…
って言うか、こんな話をするつもりじゃなくて…」



おろおろとする先輩。

何を思ったのか?

私はどんな顔をしているのか…?



「……ごめんなさい。」