「“悪い虫”がつかないように、らしいですよ」
あとでこっそり悟くんが教えてくれた。
「ほら、先輩“女子大生”になるわけじゃないですか?それで…」
「…?」
「飲み会、合コン…アイツの知らないところでいろんな“男”に出会うわけでしょ?相当焦ったみたい。」
だから、
“指輪”なんだ、と。
私にはイマイチ、ピンとこなかったんだけど…
聞けば、
その指輪はかなり高価なものだったらしく…
手に入れるために、航くんはこっそりバイトをしていたらしい。
「あ、変なバイトじゃないですよ?俺の親戚の店です。そもそも、その人がこういうの作ってて…」
それでも足りなくて、最後は“出世払い”にしてもらったとか。
航くんは何も言わなかったけど、
悟くんに全部聞いちゃったから。
それがすごく嬉しくて。
絶対に大事にしよう、そう決めたんだ。
そのとき、は――