「……え?」



ドクンと心臓が跳ねて。

次の瞬間、あり得ないくらいの速さで動き始めた。



「な…なんで?」



声が震える。

自分でもびっくりするくらい、動揺しているのがわかる。



まどかが気づいていないわけがない。


今まで家に寄り付かなかった私が、どこに行っていたのか。

そこに行かないことが、何を意味するのか……


まどかは全部、わかっているんだから。



でも、なんで今?

そんな急に触れられるとは思ってなかったから…



「あ…あのね、なんとなく…かな?」



そんな私を見て、まどかも何かを悟ったのか。

気まずそうに…
困ったように、言葉を選んでいる。



「指輪…」


「…え?」


「最近、してないよね?」



その視線は、私の左手に。

それは…



「あれ、みーちゃんがいつもつけてたやつ。あれって…コウちゃんからもらったんだよね?」