「みーちゃんのおかげで、希望が出てきた気がする」



教科書を抱えて、まどかはキラキラと…いや、メラメラと燃える瞳で言った。

来たときとは大違い。

すっかり自信がついたみたいだ。



「おおげさだなぁ。
そんなに気負わなくても大丈夫だよ。まだ1年生なんだから…」



約2時間。

私はひたすら、基礎問題だけをまどかに教え込んだ。


それさえできれば、大丈夫。

むしろ、それ以上できる人のほうが少ないんだから。




「みーちゃんは、やっぱりすごいよね。こんな思いを3年間ずっとしてきたわけでしょ?」


「え?」


「私、テストの度に具合悪くなるもん。範囲は長いし難しすぎるし…」



まどかは、大きくため息をついた。



「今回も。夏休み明けにこんなの…生徒に対するイヤガラセだよね?」



……確かに。

在学中、茉奈も同じことを言ってたような気がする。



「あー。こんなことなら、休み中にみーちゃんに教えてもらっておけばよかったよぉ。」