「ちょっと、航くん?
一体、どういう…っ!?」
玄関を入って。
みさきを部屋へ押し込むなり、俺はその唇を塞いだ。
「んっ…」
深く深く侵食して…
みさきの力が抜けたのを見計らって、そのまま抱えてベットへ。
「ちょっ…あっ…」
いつもと同じ。
キスして。
抱きしめて。
身体中に“愛”を刻んで。
肌を重ねる。
いつもやっていること。
なのに…
「……やめてっ」
白い肌に。
柔らかい胸に…
顔を埋めた俺を、みさきは思いっきり押し返した。
「え…?」
顔を上げた俺が見たのは…
「……もう、やめて。」
苦しそうに顔を歪めて。
涙を浮かべながら俺を見上げる彼女、だった。
「え…?なんで、泣いて…」
思わず伸ばしかけた手は、
バシッと。
即座に振り払われてしまった。
「みさ…「航くんは、」
俺の言葉を遮って、
涙を流しながらも、強い瞳で俺を見据えて。
みさきは言った。
「航くんは、“私”を見てないでしょう?」