それから――


これと言った変化もないまま、夏休みは過ぎていった。



いつもと同じ。

俺の傍にはみさきがいて。


みさきとの生活の合間に“受験勉強”…みたいな?



前に悟に言われた通り。

俺にとっての最優先事項はそこだったから。



それでも、成績が落ちることもなく。

模試の度に右肩上がりだったのは、みさきのおかげだと思う。


俺が頑張る理由なんて、単純に“みさきと一緒にいたい”。

それだけだから。



同じ大学に行って。

一番近くにいる。


そのためだったら、どんなことでも頑張れる。







毎日一緒にいて。

家族みたいにたくさんの時間を過ごして。


触れ合って。愛し合って。


普段よりも確実に長い時間を共有した。



それはもう、

幸せな毎日だったわけだ。







ただひとつ。


アイツの“存在”を除いては――